ブラジルの名将、「日本の母」に感謝 故松平さん夫人を訪問―バレーボール女子五輪予選
2023年09月22日15時26分
バレーボール女子のパリ五輪予選東京大会(東京・国立代々木競技場)は大詰めを迎えた。最終日の24日に日本と対戦するのは強豪ブラジル。故松平康隆元日本バレーボール協会会長が指導普及に足を運んで礎を築いた歴史があり、ホセ・ギマラエス監督(69)は「一番弟子」に当たる。
21日夕、監督は松平さんの妻・俊江さん(91)を東京都内の自宅に訪ね、手を取り合って再会を喜んだ。2011年末に松平さんが亡くなった後も練習会場などで会ったが、ゆっくり語るのは久しぶりという。
松平さんが世界各地で普及活動を始めたのは、1972年ミュンヘン五輪で男子監督として金メダルを獲得し、退任した後だった。日系人が多いブラジルは現地での支援もあって熱心に通った。
70年代半ばまでのバレー界はソ連、東ドイツなど東側諸国と日本が中心で、俊江さんは「サッカーのように世界中に広めたいと言っていた」と振り返る。俊江さんも同行していたので親交が深く、互いに「日本の母」「ギマちゃん」と呼ぶ。
当時は現役のセッターで、「松平さんから君のトスは猫田(勝敏=ミュンヘン五輪代表)に似ていると言われ、もっとうまくなりたいと思って仲間と日本で修業させてもらったこともある」と改めて感謝を伝えた。
ブラジルは男女とも多くの名選手が育ち、世界有数の強豪になった。ギマラエス監督は男子に続き女子代表を率いて五輪で金メダル2度の名将。「松平さんから無限の努力をしろ、限界まで力を出してボールを取りにいけ、チームのために自分がいるという意識を持てと教わった」と語った。