地方議員が秘書兼職、自民・立民も 制度見直し論浮上
2023年09月22日07時03分
国会議員が地方議員に公設秘書を兼職させている事例が21日、自民党と立憲民主党の衆院議員3人でも明らかになった。原則禁止されている公設秘書の兼職については、日本維新の会の池下卓衆院議員(大阪10区)が必要な届け出をせずに地元市議を雇っていたことが発覚、議員報酬と秘書給与の「二重取り」が問題となった。自民、立民、維新とも実態調査を始めており、制度の見直し論も浮上している。
自民で判明したのは逢沢一郎氏(岡山1区)と松本尚氏(千葉13区)。国会に兼職届を提出した上で、逢沢氏は香川県三豊市議、松本氏は千葉県酒々井町議をそれぞれ公設秘書に雇った。
逢沢氏はコメントを発表。秘書の急な退職で後任が見つからず、長年自身の秘書を務めてきた市議が「有能である」ため復帰させたことを兼職の理由に挙げた。松本氏も「ルールにのっとって採用している。問題とは思っていない」と説明した。
立民の福田昭夫氏(栃木2区)は栃木県日光市議を公設秘書に雇い、兼職届を提出していた。福田氏は記者団の取材に「地元にどんな課題があるか聞くことができる。こんなにいい仕組みはない」と意義を強調した。
一方、自民の茂木敏充幹事長は21日、記者団に対し、兼職に関する調査に入ったと説明し「仮に(兼職事例が)出てくれば基本的には是正してもらう」と述べた。立民の長妻昭政調会長も会見で「全容を把握し、どう対応するか結論を出したい」と語った。維新は兼職禁止の内規を定める方針で、所属する全国会議員に実態調査を指示した。
公明党の北側一雄副代表は会見で、兼職について「地方議員は議会活動はもちろん、各現場で相談を受け対応する。国会議員の公設秘書と兼職できるとはとても思えない」と問題視。「給料の二重取りと言われても仕方ない側面もある。見直すべきはしっかり見直す必要がある」と語った。
公設秘書の兼職は、国会議員秘書給与法で原則禁止されているが、国会議員が「秘書の職務の遂行に支障がない」と判断すれば可能になる。兼業させる場合は、国会に届け出る必要がある。