木簡に「鎮兵」、国内初出土 遺跡の発掘調査で―福島市
2023年09月21日19時37分
福島市は21日、市内にある西久保遺跡の発掘調査で、奈良末期から平安初期にかけて東北地方の防備を担った「鎮兵」と記した木簡が出土したと発表した。鎮兵の二文字が完全な形で残る史料が見つかったのは全国初という。
市文化振興課によると、鎮兵は平安時代に編さんされた歴史書「続日本紀」に記述があり、蝦夷(えみし)の反乱を受けて陸奥国や出羽国を防備するために関東周辺から派遣された兵士という。
木簡は市が行っている発掘調査で8月に出土。長さ29.6センチ、幅2.5センチ、厚さ1.1センチで、赤外線分析の結果、「出羽国牒下野国司」「鎮兵」「之状」などの18文字が記されていた。8世紀末から9世紀初頭に書かれた、出羽国から下野国の国司に宛てたものという。
木簡の分析を行った宮城県多賀城跡調査研究所(宮城県多賀城市)の吉野武所長は「鎮兵に関する資料は断片的なものが多い中、『鎮兵』の文字がそのまま残り、用途も明確で、歴史史料として一級品だ」などとコメントした。