イスラエル首相の真意確認か サウジとの国交正常化―米大統領
2023年09月21日20時33分
【ワシントン時事】バイデン米大統領は20日、国連総会のため訪米したイスラエルのネタニヤフ首相とニューヨークで会談し、イスラエルとサウジアラビアの国交正常化について意見を交わした。バイデン氏は両国を橋渡しする「仲介外交」を活発化させており、会談では交渉を左右するパレスチナ問題を巡って、ネタニヤフ氏の真意を確認したとみられる。
「10年前に(イスラエルと)サウジとの正常化の話をしたら、『誰が何を飲んで酔っているのか』と顔を見合わせただろう」。バイデン氏は会談冒頭、こう軽口をたたいて場を和ませた。ネタニヤフ氏は「大統領のリーダーシップの下、歴史的な和平を築くことができる」と応じ、バイデン氏の仲介に期待を示した。
来年11月に大統領選を控えるバイデン氏は、国交正常化を仲介し、外交面での実績としたい思惑がある。中東の安定化が進み、核開発を続けるイランへの圧力強化にもつながることから、サウジとイスラエルも前向きな姿勢を示し、各国が有利な条件を引き出そうと駆け引きを繰り広げる。
交渉の焦点の一つはパレスチナ問題だ。米FOXニュースは20日、サウジの事実上の最高権力者ムハンマド皇太子のインタビューを放映。皇太子はこの中で「パレスチナ問題は非常に重要だ。パレスチナ人の暮らしが良くなることを望む」と語り、イスラエルの国家承認にはパレスチナ問題の解決が必要だとくぎを刺した。
だが、昨年12月に首相へと返り咲いたネタニヤフ氏率いる政権は、対パレスチナ強硬姿勢の極右との連立で「史上最も右寄り」とされる。パレスチナ問題で譲歩すれば連立に亀裂が生じかねず、難しい選択を迫られているのが現状だ。
米政府高官は会談後、記者団に対し、両首脳が2人だけの時間を持ったことを明らかにした上で、パレスチナ問題に関する内容が正常化の合意に含まれることは各国首脳らの「共通の理解だ」と説明した。ただ、「正常化は非常に複雑な問題だ」とも述べ、合意には時間を要するとの見通しを示した。