追悼サイレン、杭州では鳴らず アジア大会控え対日配慮か―中国
2023年09月21日14時41分
【上海時事】満州事変の発端となった柳条湖事件から92年を迎えた今月18日に、浙江省杭州市では恒例となっている追悼のための防空サイレンが鳴らされなかったことが21日、分かった。東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出を巡り中国では対日感情が悪化しているが、アジア大会の開幕を23日に控え、杭州市が日本側に配慮した可能性がある。
中国で「国恥の日」とされる18日は、各地で大音量でサイレンを鳴らし、犠牲者を追悼するのが通例。しかし、杭州市では今年は鳴らされず、SNSでは市の対応を批判する声が上がった。投稿によれば、杭州市側は市民の問い合わせに対し、5月12日の「防災の日」に防空サイレンを鳴らしたため、9月18日には警報を実施しなかったと弁明した。
ただ昨年までは両日ともサイレンを鳴らしており、SNSでは杭州市の対応に「理解できない」などと不満を訴える投稿が相次いだ。こうした投稿は次々と削除されており、当局がアジア大会を前に反日的な声を抑制しようと苦慮していることがうかがえる。
アジア大会に参加する日本選手団は一部が既に杭州入りしている。過去には上海市が2010年に上海万博への影響を理由にサイレンを中止し、批判を浴びたことがある。