地震乗り越え、芸術祭開催へ 「頑張っている姿見に来て」―石川
2023年09月21日13時31分
石川県能登地方で5月に起きた地震で最大震度6強の揺れを観測し、被害が大きかった同県珠洲市で、国内外のアーティストが魅力を発信する「奥能登国際芸術祭2023」が23日から始まる。地震の影響で当初予定から3週間遅れの開催となったが、住民は「頑張っている姿を見に来てほしい」と期待する。
芸術祭は17年から3年ごとに開かれ、今回で3回目。14の国と地域からアーティスト59組が参加し、市内全域を活用して芸術作品の展示や朗読劇、コンサートなどの表現活動をする。期間は11月12日まで。地震で被害を受けて使えなくなった建物が多かったため、展示場所の変更や、避難経路の確認など安全対策マニュアルの強化にも取り組んだ。
まだ営業が再開できていない宿泊施設もあるが、7万人以上の集客を目指す。民宿「くにまつ」を営む国重恵子さん(64)は「復興するために元気の源となるイベントの一つ。一丸となって頑張っているところを、たくさんの人に見てほしい」と話す。
アーティストの制作活動は、住民と触れ合いつつ進められた。住民らが市内で採取した種子などを使った作品「種のタイムカプセル」を制作したマリア・フェルナンダ・カルドーゾさん(60)は「地震が起きたことは悲しいが、人生の一部として次に進む何かのきっかけになれば良いと思う。アートが希望をもたらすことを願っている」と思いを語った。総合ディレクターの北川フラムさん(76)は「東京から遠いが、ものすごく豊かな場所。最果ての場所に、ぜひ来てほしい」と呼び掛けている。