中国、EVで輸出攻勢 最大手BYDは日本攻略狙う
2023年09月21日07時10分
【北京時事】中国が電気自動車(EV)の輸出攻勢を本格化させている。最大手の比亜迪(BYD)は20日に日本で小型EV「DOLPHIN(ドルフィン)」2タイプの販売を開始、日本市場の攻略を狙う。一方、欧州や東南アジアでもガソリン車を強みとする日系自動車メーカーとの競争が激しさを増している。
BYDの小型EV、363万円から 日本市場向け第2弾、車高も調整
BYDは今年1月にスポーツ用多目的車(SUV)のEVを日本で発売、市場参入を果たした。月間販売台数は平均100台程度にとどまっているが、同社は第2弾となる小型EVを日本向けの重要なモデルと位置付け、攻略に自信を見せる。日系メーカーの関係者は「車種が増えて知名度が上がれば、販売も伸びる」と警戒感を示した。
中国ではEVなど「新エネルギー車(NEV)」関連の産業育成を急ぐ政府の後押しもあり、多くのメーカーがEV市場に参入、技術の蓄積が進んだ。国内での競争が激化する中、BYDなどは海外展開も加速している。
「自動車の街」と呼ばれる中国南西部の重慶市にある物流拠点「鉄路口岸」には各社の輸出用EVが並ぶ。担当者によると、輸出が始まったのは今年からで、「欧州が主な仕向け地」という。
中国自動車工業協会によれば、今年1~7月の自動車の輸出台数は前年同期比68%増の253万台。うち4分の1がNEVだった。2022年に世界首位だった日本は242万台にとどまっており、通年でも中国が首位となる公算が大きい。
ただ、中国の自動車輸出が順調に伸び続けるかは不透明だ。中国の影響力拡大への懸念を背景に、欧州連合(EU)は中国製EVの補助金調査に乗り出す方針を表明。領土問題で中国と対立するインドでは、BYDの投資計画が拒否されたと報じられた。業界関係者は、中国メーカーが輸出を増やす上で「政治が最大の障害だ」と指摘した。