二階派、巻き返しに苦心 日中外交・総裁選で存在感狙う―自民
2023年09月21日07時07分
自民党の二階派(41人)が巻き返しに苦心している。岸田政権で「非主流派」の地位が定着。先の内閣改造では閣僚2枠を辛うじて維持したものの、党四役は得られず、副大臣・政務官ポストも減少した。所属議員も減り続ける中、日中議員外交と来年秋の党総裁選で存在感を示そうとしている。
同派は20日、長野県軽井沢町で研修会を開催。会長の二階俊博元幹事長は「みんなで協力し、力を尽くすことを誓い合おう。力を示さないといけない」と結束を呼び掛けた。
13日の内閣改造に先立ち、二階派は首相官邸に、閣僚2枠を維持した上で入閣待機組を処遇するよう要求。水面下では党四役入りも求めた。官邸の回答は「入閣枠1」のみ。同派幹部が「それなら要らない」と激怒したため、官邸側は閣僚2枠を再提示。小泉龍司法相と自見英子地方創生担当相の初入閣が決まった。副大臣は2人から1人に、政務官は5人から3人に減り、全体として不満が募る人事となった。
派閥の勢力衰退はより深刻だ。二階氏が安倍・菅政権で幹事長として権勢を振るった当時は第4派閥(48人)にまで拡大したが、岸田政権で「無役」になると他派閥に移籍する退会者が続出。岸田派(46人)に抜かれて第5派閥に転落した。
二階氏を幹事長代理として支えた金田勝年元法相は次期衆院選への不出馬を表明。衆院小選挙区の「10増10減」に伴って比例代表への転出を余儀なくされた議員もいる。派内からは「状況は厳しくなる」との声が漏れる。
局面打開へ期待されているのが、二階氏が重視する日中外交だ。習近平国家主席と会談するなど中国側と独自の人脈を持つ二階氏は、4月に日中友好議員連盟会長に就任し、訪中への調整を進めている。東京電力福島第1原発の処理水放出で悪化する日中関係の改善に向け、二階氏の訪中が実現するかが政権内で注目されている。
岸田文雄首相が再選を目指す総裁選で一矢を報いようという動きもある。二階派は「勝ち馬」に乗る戦略を得意としてきたが、次回は「対抗馬を担ぐべきだ」(閣僚経験者)との主戦論が浮上。二階氏は、首相と一定の距離を置く菅義偉前首相(無派閥)や森山裕総務会長(森山派会長)とも良好な関係を築く。「ポスト岸田」に向けた二階氏らの対応が焦点となる。