「散々」から巻き返しへ 埋めたい選手間の意識差―新体操
2023年09月20日15時36分
18日に東京都内で開催された新体操団体の日本代表を選考するトライアウトの会場に、日本体操協会関係者の声が響いた。「個人も団体も散々だった。とにかく、ここから追い上げていくしかない」。8月の世界選手権でパリ五輪出場枠を逃したことへの厳しい評価を、選手やコーチは静かに聞いた。
スペイン・バレンシアで行われた世界選手権ではミスが目立ち、団体総合13位に沈んだ。不振は必然だった、という見方もある。日本勢42年ぶりの団体総合表彰台となる3位に入った2017年大会や、ロシアに次ぐ2位と健闘した19年大会当時は、新体操の本場であるロシアに選手が長期滞在して練習を重ねていた。だが、20年以降は新型コロナウイルス禍の渡航制限などで滞在が難しくなり、現在は日本が拠点。強化に寄与するロシア人コーチの指導を直接受けられず、練習の質を保つための試行錯誤が続いている。
21年東京五輪後は新メンバーが増え、「ロシア時代」を知らない選手が大半に。17年当時にチームに所属していた鈴木歩佳主将は、練習に取り組む選手間に生まれてしまう意識差について「どうにかして埋めていきたい」と危機感を募らせる。
パリ五輪出場へ残された道は、来春のアジア選手権で与えられる1枠を手にすること。村田由香里強化本部長は「負けたらどうしよう、と考えることは力にならない。だから楽しんでできるようにしたい」。ポジティブな思考で巻き返しに臨む。