世界に近づいた銅 高谷、攻めの姿勢貫く―世界レスリング
2023年09月19日07時51分
高谷はこぶしを握りしめて雄たけびを上げた。男子フリースタイル74キロ級で銅メダルを獲得。「こんなにうれしい3位はない」。五輪切符を初めて手にし、セコンドを務めた2012年ロンドン五輪金メダリストの米満達弘コーチとがっちり抱き合って喜んだ。
序盤で相手に豪快に返されて失点したが、攻めの姿勢を崩さなかった。「おれは絶対に逃げない。最後まで戦い続ける思いで挑んでいた」。迎えた第2ピリオド。グラウンド(寝技)の攻防から相手が体勢を崩したところを逃さず、一気に両肩を押さえ込んでフォール勝ち。「すごく気持ちよかった」と声を弾ませた。
五輪3大会連続出場の惣亮を兄に持ち、東京五輪ではサポート役を務めた。「僕は持っていない人間。正直、五輪に出られると思っていなかった」。試合直後には信じられないといったような表情で頭を抱え込んだ。
この階級でのメダルは兄が準優勝した2014年大会以来。日本勢にとって層の厚い中量級でメダルを獲得した価値は高い。持ち味のタックルが通用することを示し「(パリ五輪のメダルは)手の届く範囲に来ていると思う。これからは自分の武器をどれだけ研ぐかの勝負になる」。世界の強豪と渡り合い、確かな手応えを得た様子だった。(ベオグラード時事)