「富嶽三十六景」全作セット競売へ クリスティーズで来春―NY
2023年09月19日07時07分
【ニューヨーク時事】江戸時代に活躍した浮世絵師・葛飾北斎の代表作である連作版画「富嶽三十六景」全作品が来年3月、セットで米ニューヨークの大手競売商クリスティーズでオークションに掛けられることが17日分かった。関係者が明らかにした。1点ごとに市場に出ることはあるが、まとめては極めてまれ。同社は通常、作品の推定価格を公表しているが、今回は「想像できない」(同社担当者)という。
出品されるのは、富嶽三十六景が好評を博したのを受けて追加制作された10点を含む全46作品。クリスティーズは「出品者は米国人1人」とだけ明かし、ニューヨークの同社ビルで期間限定で公開している。保存状態は作品ごとにまちまちではあるものの「全体的に水準は高い」(同)。米国で全作品が1カ所で展示されるのも非常に珍しいという。
富嶽三十六景では特に「神奈川沖浪裏」の評価が高く、3月に行われたクリスティーズの競売では落札価格が276万ドル(約4億円)に上った。ドイツのバイエルン州立図書館も8月、数百万ユーロ(約数億円)で個人から購入したと明らかにしていた。
浮世絵は1867年のパリ万博で欧州に広く紹介された。明るい色彩や大胆な構図は衝撃をもって迎えられ、ゴッホら印象派画家の作風に影響を与えたことが知られている。