北朝鮮にすがるロシア 侵攻長期化、弾薬不足の解消狙う
2023年09月14日07時04分
ロシアのプーチン大統領はウクライナ侵攻が長期化する中、北朝鮮の軍事協力にすがり、弾薬不足を解消する狙いがあるとみられている。先に閉幕したインドの首都ニューデリーでの20カ国・地域首脳会議(G20サミット)を欠席する一方、金正恩朝鮮労働党総書記を歓待しており、制裁下で孤立する両国の結束を演出した。
「ショイグ(国防相)、弾薬はどこだ」。侵攻に協力した民間軍事会社ワグネルの創設者プリゴジン氏(8月に自家用ジェット機墜落で死亡)はかねて、緊張関係にある軍・国防省を批判する材料として「弾薬不足」を挙げ、動画メッセージで糾弾していた。
これは根拠のない主張ではなさそうだ。ロイター通信は9日、西側諸国の話として、ロシアは昨年、ウクライナで弾薬1000万発以上を消費していたと報道。今後数年間、従来の2倍の年200万発まで増産できるかもしれないが、それでも戦場の需要は満たせないと厳しい分析を伝えていた。
反転攻勢を続けるウクライナは、ロシア軍の強固な防衛線に阻まれ、多数の兵器を失っているもよう。しかし、西側諸国による軍事支援は継続しており、戦況は双方による持久戦の様相を呈している。北朝鮮の弾薬供給が実現すれば、ロシアに自爆ドローンの技術を供与したイランに続く大きな支援となる。
ショイグ氏は今回の首脳会談に同席。7月に訪朝して正恩氏にプーチン氏の親書を手渡し、会談の立役者となった。プーチン氏は正恩氏に対し、7月の朝鮮戦争休戦70年、8月の北朝鮮の「祖国解放記念日」、今月9日の建国75年の3回も祝電を発表。その中で特に、ウクライナ侵攻中のロシアに対する北朝鮮の「断固たる支持」を高く評価していた。