滑り出しとしてはベスト 課題はファーストタックル―ラグビーW杯
2023年09月11日09時58分
4年前のロシア戦と同じで、初戦はどうしても緊張する。思ってもみないことが起きる。今回もチリに先制されたが、冷静にプレーしてすぐに取り返した。そこが一番大きかった。滑り出しとしてはベストの結果。大会前の不安を払拭する戦いができた。
チリはフィジカルが強く、侮れない相手だった。ただし、攻撃はブレークダウン(タックル後のボール争奪戦)近辺の一辺倒。終盤はチリのFWが疲れて、逆に日本にはスタミナがあった。最後に突き放すことができた。
良かったのは松田。キックを100%決めてくれた。流と組んだハーフ団がうまくチームをコントロールした。FWではA・ファカタバが2トライを決め、下川も愚直に密集で仕事をした。この2人の新戦力が大きかった。そして、印象的だったのはリーチ。後半に突き放すトライを決めた。球際の強さ、トライへの執念、ディフェンスへの嗅覚が素晴らしかった。
課題はファーストタックルが決まらなかったこと。チリのフィジカルの強さが予想以上だったのではないか。よく戻って止めていたが、イングランドなどの強い相手なら、最初のタックルを外されると簡単に失点につながる。
次のイングランド戦では、キックも使って相手FWを後ろに下げたい。流のキックが大事になってくる。そこから崩して、素早く外にボールを散らして勝負してほしい。
◇村田亙氏の略歴
村田亙(むらた・わたる)東福岡高から専大を経て、90年に東芝府中(現BL東京)入り。攻撃的なSHとして、96年度からの日本選手権3連覇などに貢献した。99年に日本人初のプロ選手としてフランスリーグのバイヨンヌ(当時2部)と契約し、2シーズン在籍。帰国後はヤマハ(現静岡)で40歳まで現役を続けた。日本代表41キャップで、W杯には91、95、99年に3大会連続で出場。現役引退後は7人制男子日本代表監督、専大監督を歴任した。55歳。福岡市出身。