選挙と出廷、日程タイトに トランプ氏、四つの刑事裁判―米
2023年08月30日12時32分
【ワシントン時事】2024年米大統領選で返り咲きを目指すトランプ前大統領の日程が立て込んできた。四つの刑事事件で起訴され、既に来年3月に2件、5月に1件の初公判期日が確定。共和党の大統領候補を選ぶ予備選が本格化するタイミングと重なり、選挙活動と刑事裁判の両立という異例の挑戦は、大きな負担となる。
「トランプ氏は他の被告と同様、別の予定にかかわらず裁判期日をやりくりしなければならない」。ワシントン連邦地裁のチュトカン判事は28日、こうくぎを刺し、一連の裁判で最も早い3月4日に初公判を設定した。各州で予備選が集中し、候補者指名争いが最も盛り上がる「スーパーチューズデー」の前日だ。
トランプ氏は、(1)不倫相手への口止め料を巡るビジネス記録改ざんのニューヨーク州法違反(2)国防機密持ち出しによる連邦法違反(3)20年大統領選の結果を覆そうとした連邦法違反(4)大統領選介入のジョージア州法違反―の4件で連邦・州当局に起訴された。このうち、ジョージア州法違反の事件を除く3件で公判期日が決まった。
トランプ氏側は「選挙妨害だ」と訴えて来年11月の大統領選より後の期日設定を求めてきたが、これまでに聞き入れた裁判所はない。残るジョージア州の事件では、検察側が今年10月23日の公判開始を提案している。
裁判はそれぞれニューヨーク州、フロリダ州、ワシントン特別区、ジョージア州で行われる。出廷が必要となった場合、移動や準備の負担は大きく、選挙集会を開催できる日も限定される。また、多額の弁護士費用は既に選挙戦を圧迫している。
トランプ氏は度重なる起訴を逆手に共和党支持層の同情を集め、大統領候補として党内で圧倒的な支持率を保つ。23日に行われた共和党の第1回候補者討論会では、「トランプ氏が党指名候補となった場合、有罪でも支持するか」との質問に、出席した8人の候補のうち6人が支持する考えを表明。「一強」に揺らぎはない。
だが、同党穏健派や無党派層の間では「トランプ離れ」も広がる。討論会の関連イベントにテキサス州から参加した主婦トリシアさんは、「トランプの時代はもう過ぎた」と嘆息。同氏が指名候補となれば、共和党は民主党と対決する本選で勝てないと懸念を示した。