「日中は1人」事前に把握か 「アポ電」で情報収集、標的選定―足立区の事件、全国広域強盗・警視庁
2023年08月23日14時43分
全国で相次いだ広域強盗で、東京都足立区で1月に発生した空き巣事件の指示役として逮捕されたフィリピン拠点の特殊詐欺グループのリーダー格渡辺優樹容疑者(39)らが、標的の80代男性に関し「日中は1人」「自宅に多額現金」などのメッセージを実行役に送っていたとみられることが23日、捜査関係者への取材で分かった。
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財産などを事前に把握していたとみられ、警視庁捜査1課は、渡辺容疑者らが生活状況なども調べた上で襲撃先を選定していたとみて調べる。
捜査関係者によると、実行役として逮捕された永田陸人被告(21)ら=強盗予備罪などで起訴=の携帯電話には、指示役「キム」を名乗る人物から、男性宅の住所や周辺の地図の写真とともに、「自宅に多額現金あり」「日中は高齢男性1人」などのメッセージが送られていた。
携帯電話の解析や関係者の供述などから、キムは渡辺容疑者らだったとみられる。事件前日には同容疑者の指示を受け、グループメンバーの山田李沙容疑者(27)が電話で資産状況を聞き出す「アポ電」を男性宅にかけていた。
メッセージのやりとりは秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」を通じ、グループチャットの中で行われ、永田被告らのほか、「ミツハシ」を名乗る人物が参加していた。
渡辺容疑者ら4人は永田被告らに指示し、足立区の男性宅に侵入し、金品を奪おうとしたとして強盗予備容疑などで逮捕された。物色中に見張り役の同被告が職務質問を受けたため、何も取らずに逃走した。
グループ幹部の今村磨人容疑者(39)は、京都や千葉の事件でも「ルフィ」や「ミツハシ」を名乗る指示役だったとして、強盗容疑で逮捕、起訴されている。