幼児教育の効果を追跡調査 学力、稼ぐ力など影響確認―1万人規模、5歳から成人後・文科省
2023年08月21日07時04分
文部科学省は2024年度から、幼児教育の効果を確認するため、5歳児を対象とした1万人規模の追跡調査を初めて実施する。幼稚園や保育所で受ける教育内容を把握し、小学4年生になる段階まで学力の状況などを確認。大学進学後や成人になってからも、稼ぐ力をはじめ長期的な影響について調べることを検討している。
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来年度予算概算要求に、関連経費として6000万円程度を盛り込む方向で調整。分析結果は、小学校学習指導要領や幼稚園教育要領、保育所保育指針に反映させることを視野に入れる。
小学4年生は、学力差が広がり始める時期とされる。調査ではまず、5歳児が小学4年生になる28年度にかけて、学力の状況などを確認。その後も、幼児教育の長期的な影響の分析を行う。結果を幼児教育の内容に反映させて、経済的な格差の固定化を防ぐ狙いがある。学力のほか、粘り強く物事に取り組む力をはじめとした「非認知能力」への影響を調べる。
調査では、地域特性を勘案して分析できるよう、都市部と地方部のそれぞれで十分な数のサンプルを集めることを想定。対象児の家族構成や経済状況なども確認する方向だ。
海外の先行事例では、米ミシガン州で実施された1960年代の「ペリー就学前プロジェクト」が知られているが、サンプル数は100程度。文科省が行う調査は、世界的に珍しい大規模なものという。