• X
  • facebook
  • hatena-bookmark
  • コメント

日米の原爆観、違い浮き彫り 「バーベンハイマー」映画騒動

2023年08月07日07時05分

映画「バービー」と「オッペンハイマー」を上映する米ロサンゼルスの映画館=7月20日(AFP時事)

映画「バービー」と「オッペンハイマー」を上映する米ロサンゼルスの映画館=7月20日(AFP時事)

  • 映画「オッペンハイマー」のクリストファー・ノーラン監督=7月11日、パリ(AFP時事)

 【ワシントン時事】米国で7月21日にそれぞれ公開された映画「バービー」と「オッペンハイマー」のヒットを受け、両映画のタイトルを掛け合わせた造語「バーベンハイマー」が社会現象となっている。そうした中、バービーの髪形と原爆のきのこ雲を合成するなどしたSNSでの悪ふざけを巡り、映画会社ワーナーブラザースの日本法人が、米本社の対応を批判する事態に発展。一連の騒動は、日米の原爆観の違いを浮き彫りにした。

「はだしのゲン」巡り揺れる広島 教材から削除、販売は急増

 半世紀にわたり世界的な人気を保つ着せ替え人形の実写映画と、「原爆の父」と呼ばれた科学者ロバート・オッペンハイマーの伝記映画。全く性格の異なる2本だが、この同時ヒットはストライキにあえぐ米映画界で、久々の明るい話題となった。
 ところが、SNSで「バーベンハイマー」が話題になると、一部で原爆を冗談のネタにした投稿が横行。ワーナー米本社のX(旧ツイッター)の公式アカウントも、肯定的に反応した。
 これに対し、日本では8月11日から公開予定の「バービー」を観賞しないよう呼び掛ける「不買運動」に発展。ワーナー日本法人は7月31日の声明で「配慮に欠けた反応は極めて遺憾」と強調し、「米本社にしかるべき対応を求めている」と説明した。
 日本の反応に、米国内でも驚きが広がった。米紙ニューヨーク・タイムズは「核兵器が傷痕を残す日本で『バーベンハイマー』は笑えない」と解説する記事を掲載。NBCテレビも「米国が原爆を投下した広島と長崎で、何十万人もの犠牲者が出たことを矮小(わいしょう)化している、という人々の怒りが広がっている」と論じた。
 ワーナー米本社は米メディアに送った声明で「最近の無神経なSNSに関わったことを遺憾に思う。心からおわびする」と謝罪した。
 一方、日本公開が未定の「オッペンハイマー」に対しても、広島と長崎の悲惨な被害が描かれていないとの批判が出ている。クリストファー・ノーラン監督は米映画メディア、インディワイヤーで「主人公を美化するためではなく、主人公の特定の視点で描かれているためだ。彼はラジオで広島と長崎の原爆投下を知ったのだ」と説明している。

関連記事

こんな記事も

国際用語

国際

ページの先頭へ
時事通信の商品・サービス ラインナップ