生成AI、偽情報対策急ぐ 技術開発も促進―政府
2023年08月05日07時15分
生成AI(人工知能)の国際的なルール作りに向け、政府が4日のAI戦略会議で示した方針案では偽情報拡大への危機感が強調された。生成AIは文章の要約など業務効率化に効果を発揮する半面、本物と見分けがつかない偽の情報や画像も作り出せる。実際に被害が広がりつつあり、技術開発など対策が急務だ。
偽情報対策推進で連携 G7ルール作り、広島プロセス―AI事業者に行動指針案・政府戦略会議
「ペンタゴン(米国防総省)の建物付近で爆発があった」。5月にSNS上で拡散した偽画像に付けられたコメントだ。画像はAIで作成されたとみられ、米通信社の報道を装って広がり、ニューヨーク株式市場の株価を下落させた。政府の方針案では生成AIで精巧な偽情報が簡単に作成できる事態に対し、技術による対応が有効とした。
対策の一つとして挙げたのは「オリジネーター・プロファイル」という新技術だ。インターネット上の記事や広告に、第三者機関が認証した発信者の情報を電子的に付与。閲覧者が記事の信頼性などを確認できる。国内の報道機関などで構成される技術研究の組織が設立され、実用化への検討が進んでいる。
記事などの文章以外にも、偽の顔映像をAIが自動判定するプログラムも国内で開発された。4日の会議後、村井英樹首相補佐官は「(生成AIの)リスクに適切に対応することがガードレールとなり、開発や利用を促進していくことにつながる」と語った。