トランプ氏、3度目の起訴 米大統領選の敗北覆そうと画策―議会襲撃事件の誘因
2023年08月02日20時33分
【ワシントン時事】トランプ前米大統領(77)が1日、敗北した2020年大統領選の結果を覆そうと画策し、国家を欺こうとした共謀罪など4件の罪状で起訴された。トランプ氏の刑事訴追は3回目。民主主義の根幹を現職の米大統領自身が揺るがした極めて深刻な事件で、返り咲きを目指す24年大統領選への影響は必至だ。
トランプ氏、岩盤支持37% 共和党内「強さ」のカギ―米紙調査
捜査を指揮するスミス特別検察官は1日の記者会見で、選挙結果を認めないトランプ氏の支持者らによる21年1月6日の連邦議会襲撃について、「米国の民主主義の中枢に対する前代未聞の攻撃だった」と指摘。事件は「(トランプ)被告のうそによってあおられた」と糾弾した。
起訴の柱は、トランプ氏が弁護士ら6人と共に(1)選挙結果の確定を妨害するため米国政府をだまそうとした(2)結果を認定する公的手続きを妨げた(3)有権者の投票権を侵害した―とする三つの共謀罪。起訴状は、20年11月の大統領選で敗北したトランプ氏が、権力の座にとどまる目的で選挙直後から集計手続きへの介入を図り、議会襲撃へとつながった経緯を記している。
起訴状などによると、トランプ氏や顧問弁護士だったジュリアーニ元ニューヨーク市長らは、一部の州で「死者が多数投票していた」「票が廃棄された」などと架空の選挙不正を主張し、各州政府高官らに集計結果を改ざんするよう圧力をかけた。
さらに、アリゾナやミシガンなどの激戦7州で、トランプ氏が勝利したとする偽の選挙人証明書を作成し、結果を最終的に認定する連邦議会に提出させようとした。ペンス副大統領(当時)にも真正な選挙人の投票結果を認めないよう迫り、拒絶されると暴徒による混乱を利用して連邦議会での承認手続きを遅らせた。
トランプ氏は起訴について、24年大統領選の有力候補である自身への「選挙妨害」だと反発。3日にワシントンの連邦裁判所に出廷を命じられており、罪状認否で無罪を主張するとみられる。
トランプ氏の選挙介入疑惑を巡っては、南部ジョージア州フルトン郡の地区検察も独自に捜査を進めている。今月中にも訴追の可否を判断する見通しだ。
トランプ氏が連邦法違反で起訴されるのは、機密文書持ち出し事件に続き2度目。同氏は不倫相手への口止め料支払いに関する記録改ざんで、ニューヨーク州法違反でも起訴されている。