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「訴追の積み重ねが重要」 国際刑事裁判所の赤根智子裁判官―プーチン氏に逮捕状、ロシアが指名手配

2023年07月29日07時28分

インタビューに答える国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子裁判官=27日、東京都港区

インタビューに答える国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子裁判官=27日、東京都港区

 ロシアのウクライナ侵攻を巡って、プーチン大統領への逮捕状を出した国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子裁判官が28日までに時事通信の単独インタビューに応じた。プーチン氏が自国にとどまる限り逮捕は困難だが、赤根氏は「この件に限らず、われわれは逮捕状だけ出せばいいと思って仕事をしているわけではない。重大犯罪の抑止のためには、逮捕と訴追を積み重ねることが重要だ」と語った。

赤根ICC裁判官を指名手配 プーチン氏の逮捕状発付で―ロシア

 プーチン政権は逮捕状に対し強く反発しており、インタビュー当日の27日、ロシア内務省が赤根氏を指名手配したと現地で報じられた。
 赤根氏はプーチン氏に対する逮捕状発付について、「検察官からの請求を受け、逮捕すべき理由や必要性があるかを検討した結果」と説明。報復と取れるロシア側の対応については「報道は耳にしているが、それが今後の検察による捜査や裁判上の手続きの支障となってはならない」と述べた。
 プーチン氏はICC加盟国を訪問すれば身柄を拘束される可能性が生じ、外遊を制限されている。ただ、赤根氏はこうした「副次的効果」を得る目的や政治的思惑で逮捕状を発付することはないとした上で、「ICCはあくまで中立公正な刑事裁判所だ」と強調した。
 日本は国内法に戦争犯罪や人道に対する罪の概念がなく、ジェノサイド条約にも加盟していない。赤根氏はこうした現状を憂慮し、「国内法を整備して、国際社会に貢献する態度を明確にすることは、法の支配を掲げる日本の国益にもかなうのではないか」と述べた。
 赤根氏は2018年、日本人で3人目のICC裁判官に就任し、日本でいう起訴に相当する段階までを担当する「第2予審部」に所属。同予審部は今年3月17日、ウクライナの占領地域からの子供連れ去りに関与したとして、戦争犯罪の疑いでプーチン氏ら2人に対し逮捕状を発付した。

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