香港でも通関検査強化 日本産の水産物
2023年07月22日08時51分
【北京時事】香港で日本産水産物に対する輸入時の通関検査が実質的に強化されたことが21日、分かった。所要時間が大幅に増えるケースが出ている。香港政府は東京電力福島第1原発の処理水が海洋放出された場合、福島県など10都県からの水産物の輸入を禁止する方針を示しているが、先だって検査を厳格化した形だ。中国は日本産の水産物に対する全面的な放射性物質の検査に踏み切っており、香港政府も検査を厳しくすることで足並みをそろえたとみられる。
処理水放出、日本側に懸念伝達 「食品安全が最優先」―香港長官
香港政府の李家超行政長官は7日、処理水の放出計画について「信頼性と合法性を証明していない」と批判。関係者によると、検疫強化はその頃から始まったという。日本側は香港に対し、食品の安全性は確保されていると説明、輸入規制を強めないよう求めている。
香港では日本食の人気が高く、日本で早朝に水揚げされた水産物を午前の航空便で輸送し、夜に香港の飲食店で提供するビジネスモデルが成立している。ただ、最近になり、通関で通常よりも3時間ほど余分にかかる事例が続出。新鮮な日本食材を出せない店舗もあり、一部の事業者は既に香港向けの輸出を減らしたという。
2022年の日本の農林水産物・食品輸出額は国・地域別で中国本土(2783億円)が1位、香港(2086億円)が2位。中国本土と香港を合わせた比率は全体の約36%に相当する。