頼氏、政権維持へ団結呼び掛け 与党が党大会―台湾総統選まで半年
2023年07月17日07時05分
【台北時事】台湾の与党・民進党は16日、台北市で党大会を開いた。半年を切った来年1月13日の総統選へ向け、蔡英文総統の後継として出馬する党主席(党首)で副総統の頼清徳氏(63)は「台湾の主権と、民進党の民主的価値を守ろう」と政権維持へ向け団結を呼び掛けた。最大野党・国民党も1週間後の23日に党大会を予定しており、事実上の選挙戦が火ぶたを切った。
総統選へは頼氏のほか、国民党から侯友宜・新北市長(66)、第3党の民衆党から柯文哲・前台北市長(63)が出馬を表明。三つどもえの構図となっている。民間の各種世論調査では首位を頼氏と柯氏が争いつつ、3氏とも約20~40%の支持を獲得しており混戦の様相だ。
民進党は昨年11月の統一地方選で国民党に大敗し支持率が急落。今年1月に頼氏が主席に就任し党勢は回復傾向にあるが伸び悩んでいる。一方、国民党は政治色が薄く素朴なイメージで人気が高い侯氏を抜てきした。ただ、総統選候補としてのアピール力に欠け支持率は下落。党内には交代論がくすぶる。
二大政党を横目に支持率を伸ばすのが、自身が立ち上げた民衆党を率いる柯氏だ。「第三勢力として新しい政治をつくる」と豪語する柯氏は、対中政策で世論を二分し、長年政権を奪い合ってきた二大政党にうんざりした若者や無党派層の受け皿となっている。民進党関係者は「さらに柯氏の支持が伸びると、民進党政権を嫌う国民党支持者の票が一気に柯氏に流れる可能性がある」と警戒した。
台北市では16日、民進党大会に合わせて蔡政権に住宅価格高騰への対策を求めるデモが行われ、柯氏と侯氏も参加。柯氏は「これまでの(民進党と国民党による)政権交代で国民の暮らしは本当に良くなっただろうか」などと訴え喝采を浴びた。
総統選と同日には、立法委員(国会議員、定数113)選も実施され、こちらも接戦が予想される。3党の現有議席は民進62、国民37、民衆5。どの党も過半数を得られなければ、中国からの台湾統一圧力が増す中、不安定な政権運営を強いられることになる。