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「日本版DBS」って何? 子ども性被害防止で犯歴確認―ニュースQ&A

2023年07月15日15時04分

【図解】英国のDBSの仕組み

【図解】英国のDBSの仕組み

 政府は、教員や保育士らに性犯罪歴がないことを確認する制度「日本版DBS」の創設に向け、検討を始めた。子どもの心身にダメージを与える性被害を防ぐのが目的で、海外で導入例がある。日本で始める場合は、職業選択の自由を定めた憲法との整合性などが課題となる。
 ―DBSは何の略か。
 正式名称は「Disclosure and Barring Service」。こども家庭庁によると、英国は2012年から導入しており、制度を運営する組織名「前歴開示・前歴者就業制限機構」という意味だ。性犯罪の前歴がある人が子どもと接する職業に就くことを禁じている。ドイツやフランスでも同様の制度がある。
 ―具体的な仕組みは。
 英国の場合、就労希望者が学校などに来たら、雇用主が機構に前歴チェックを申請。機構が自身のデータベースを確認したり警察など外部機関に照会したりして、前歴がないことを示す証明書を就労希望者に送る。就労希望者は証明書を雇用主に提出する。
 ―日本ではどうなっている。
 子どもが安心して成長できる環境づくりのため、日本でも必要性が指摘されていた。政府が21年度にこども家庭庁創設の基本方針を決めた時には「日本版DBSの導入に向けた検討を進める」と明記。今年6月、同庁の有識者会議で具体的な仕組みの検討を始めた。早ければ今秋に召集が見込まれる臨時国会を念頭に、関連法案を提出する。
 ―性犯罪はどのくらい起きている。
 警察庁によると、21年に3754人が強制性交等と強制わいせつで検挙された。ただ性犯罪は表に出にくく、特に子どもは被害に気付かなかったり言い出せなかったりすることも多い。これ以外にも被害がある可能性も考えられる。
 ―新制度の対象となる職業は。
 教員や保育士のほか、児童福祉施設の職員など子どもに関わる職業が想定される。塾やスポーツクラブといった企業・団体の社員も含めるかどうかは今後検討する。対象者の性別は問わない。
 ―大がかりだけど課題はないの。
 憲法22条では「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」とうたっている。犯罪歴がある人の職業選択の自由をどこまで制限していいのか、犯罪歴を学校や企業に知られることはプライバシーの侵害に当たらないのか、といった論点がある。確認すべき性犯罪の種類や、犯罪歴をデータベースに残す期間の長さも議論が必要だ。

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