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大規模障害、社会揺るがす 通信依存、リスク浮き彫り―KDDI事故1年

2023年07月02日07時04分

【図解】非常時の「ローミング」の仕組み

【図解】非常時の「ローミング」の仕組み

  • 電話がつながらないauのスマートフォン=2022年7月4日、東京都中央区
  • auショップに張られた通信障害のお知らせ=2022年7月4日、東京都千代田区

 2日半にわたり携帯電話が利用できないなどの影響が出たKDDIの大規模通信障害から7月2日で1年となる。119番などの緊急通報がつながらなくなったほか、決済にも支障が出るなど生活や経済活動を揺るがし、あらゆる場面に通信が浸透した社会ならではのリスクを浮き彫りにした。通信各社は対策に力を入れているが、KDDI事故後も障害は後を絶たない。

通信確保へ「ローミング」導入 KDDI障害受け議論進展

 事故は2022年7月2日午前1時35分に起きた。メンテナンス時の設定ミスをきっかけに大量の信号が送信され、通信の混雑が生じた。つながりにくい状況は4日午後3時まで約61時間半続き、全国で延べ3000万人以上が影響を受けた。KDDIは「おわび」として全契約者に200円を返金した。
 通信障害の影響は広範に及んだ。携帯電話で救急車を呼べなくなった。スマートフォン決済だけでなく、店舗やタクシーの決済端末の使用も不能に。電子チケットを導入したイベントで混乱が生じ、運輸業界では位置情報を使ったサービスに支障が出た。将来、自動運転やドローンの活用が進めば、障害の影響はさらに甚大になる恐れがある。
 総務省はKDDIを厳重注意する行政指導を実施。事態を重く見て、災害などで障害が起きた際、他社回線を利用して通信を確保する「ローミング」の検討に乗り出し、25年度末までの実現を目指すとの方針を決めた。事故防止に向け、事業者への定期監査も行う。
 ただ、検討を進めていた間にも通信障害は頻発した。22年9月に楽天モバイル、同年12月にはNTTドコモで、電気通信事業法上の「重大な事故」が発生。今年に入ってからもNTT東日本とNTT西日本で光回線の障害が起きた。
 情報通信分野が専門の内田真人早大教授は「最近の通信は複雑、大規模化しており、障害発生リスクも高まっている」と警鐘を鳴らしている。

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