実勢価格の6割で評価 マンション、相続税に影響も―国税庁
2023年06月30日16時34分
国税庁は30日、相続税の算定でマンションの評価額が著しく低く、市場の「実勢価格」と開きが大きいため適正な課税ができていないケースがあるとして、ルールの見直し案を公表した。評価額を最低でも実勢価格の6割とし、乖離(かいり)を小さくすることで大幅な節税を防ぐのが目的。これまで高額な「タワーマンション」を購入する節税対策をしてきた富裕層も影響を受けそうだ。
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同庁によると、評価額が実勢価格の6割に満たなかったマンションは引き上げの対象とする。一方、6~10割の範囲内にある場合の算定は従来通りという。また、実勢価格を上回るケースでは超過分を減額する。
今後、相続税の算定ルールを新たに定めた通達改正案をまとめ、パブリックコメント(意見公募)を実施。来年1月以降に取得した不動産から適用することを目指す。都市部のタワマンなどが評価額の大幅上昇に直面する可能性がある。
同庁のサンプル調査によると、2015~18年、マンションは全国平均で評価額が実勢価格の42~50%程度にとどまっていた。マンションの65%で評価額が半分以下となった年もある一方、戸建て住宅の評価額は平均6割となっており、こうした事情も考慮して見直し案がまとめられたという。