パリ五輪に暗雲 組織委に不正疑惑―開幕へ課題山積
2023年06月24日07時39分
【パリ時事】パリ五輪・パラリンピック組織委員会が事業契約を巡る不正の疑いで家宅捜索を受け、来年夏開催のパリ大会に暗雲が漂い始めた。組織委は潔白を訴えるが、東京大会に絡む汚職事件が世界に衝撃を与えただけに、捜査の行方に注目が集まっている。
パリ郊外サンドニの組織委本部に捜査員が入ったのは20日。この日は五輪施設の建設を手掛ける公社「SOLIDEO」本部も捜索を受けた。翌21日には、スポーツ専門の代理店ケネオに捜索が拡大。当局は組織委から、入札や契約に関する書類の提出を受けた。
捜査関係者によると、問題となっているのは組織委が過去に発注した事業だ。具体的な内容は明らかでないが、当局は契約に絡み公金横領や便宜供与、違法利得などがなかったか調べている。仏汚職防止機構(AFA)の調査が発端で2022年に捜査が始まった案件や、17年からの継続案件も含まれる。
組織委は疑惑の目を向けられたことに強く反発。声明を出し、これまで「わずかな不正も指摘されていない」と主張した。一方、国際オリンピック委員会(IOC)は「捜査の結果を待つ」(デュビ五輪統括部長)と静観の構えだ。
ロイター通信は「五輪の組織委が捜査対象になるのは(パリが)初めてではない」と報道。東京大会で汚職事件が摘発されたことを伝えた。
不正疑惑だけでなく、パリ大会は課題が山積している。来年7月26日の開会式はセーヌ川をメイン舞台に、夏季大会史上初めてスタジアム外で開催される。しかし、東京に比べはるかに狭いパリを目指し60万人規模の大観衆が押し寄せると見込まれ、テロの脅威や交通のまひなど安全面の不安が拭えない。
長引く物価高で、大会に要する費用も膨らんでいる。AFP通信によれば、フランス会計検査院は当初の「見積もりが甘かった」として、予算緊縮の必要性を唱える報告書をまとめた。ウクライナ侵攻を続けるロシアと同盟国ベラルーシの選手についても、参加を認めるか否か決まっておらず、1年余り先に迫った開幕までにクリアすべきハードルは多い。