風評被害「政府挙げて対応」 漁業者と意見交換、東電福島処理水―西村経産相
2023年06月10日20時20分
西村康稔経済産業相は10日、茨城沿海地区漁業協同組合連合会(水戸市)を訪れ、東京電力福島第1原発の敷地内にたまり続ける処理水の海洋放出について、漁業関係者と意見交換した。風評被害の懸念に対し、西村氏は「被害がないように、またあり得るとの前提で、政府を挙げた対応を責任を持ってやっていく」と理解を求めた。
沿海地区漁連の飛田正美会長は「放出には断固反対だ」と表明。その上で、「今後数十年続く海洋放出により、将来に対する不安が増大し、漁業継続への懸念が生じている」と訴えた。
政府は今年夏ごろの海洋放出を目指す一方、漁業者には「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」と約束している。西村氏は「日本の漁業を発展させ、水産大国であり続けるように取り組んでいきたい」と述べ、水産物の消費拡大への支援を強化する考えを示した。
西村氏は同日、福島、宮城両県でも漁業関係者と意見交換した。終了後、記者団の取材に応じ、「いずれも切実な声、厳しいご意見をいただいた。今後も意思疎通を密にして、安全性の確保と風評対策について丁寧に説明していきたい」と語った。