失格乗り越えた固い絆 急造ペアの加藤とプッツ―全仏テニス
2023年06月09日18時21分
【パリ時事】テニスの全仏オープン混合ダブルスで、加藤未唯(ザイマックス)ティム・プッツ(ドイツ)組が初優勝を果たした。女子ダブルスで失格となった加藤は、プッツの心強いサポートを受けてショックを乗り越え、四大大会初制覇を達成した。
加藤は第1セットを先取された後の第2セット終盤から切れが増し、磨いてきたボレーで得点を重ねた。マッチタイブレークは「より集中しよう」と気を引き締め、10―6で歓喜の瞬間を迎えた。「1回戦から彼にはすごく助けられた。この優勝は今の私にとって大きい」と感謝した。
今回が初結成の急造ペア。当初はそれぞれ別のパートナーと出場するつもりだったが、世界ランキングで基準を満たせず、エントリーの締め切り直前にプッツが誘った。一度も練習しないまま1回戦に臨み、試合を重ねながら連係を深めた。加藤は「信頼できて安心。プレーしていて心地良い」と好相性を口にする。
加藤は女子ダブルス3回戦でポイント間に打った球がボールガールに直撃し、失格となった。悲しみに暮れた加藤は混合ダブルスの棄権も考えたが、プッツにしばらくハグしてもらい、「気持ちを整えられた」という。7歳上で35歳のプッツは「嫌な気持ちのままパリを去るのではなく、良い思い出を増やして乗り越えてもらいたい」との思いで奮起した。
7月のウィンブルドン選手権では、ペアは組まない予定という。絆を深めた2人は優勝会見で、「たぶん(8月開幕の)全米オープンで」と笑いながら見詰め合った。