事前調整、部下に指示 仕様案も提示、元部長主導か―国立科学院の官製談合・警視庁
2023年06月10日07時09分
国立保健医療科学院(埼玉県和光市)のポータルサイト運用保守業務の入札を巡る官製談合事件で、逮捕された元同院政策技術評価研究部長の佐藤元容疑者(62)が、落札したIT会社(東京都品川区)と入札要件を事前に調整するよう部下に指示していたことが9日、捜査関係者への取材で分かった。
国立保健医療科学院元部長を逮捕 入札で特定業者に有利な仕様書―官製談合防止法違反容疑・警視庁
作成途中の仕様書案もIT会社側に送らせており、警視庁は佐藤容疑者が主導して事前調整を進めたとみて調べる。
警視庁は同日、科学院を捜索し、契約に関する書類などを押収した。
捜査関係者によると、佐藤容疑者は調達仕様書の作成に当たり、部下の職員に対し、IT会社が落札できるように同社側との入札要件の調整を指示。入札公告前にメールで複数回やりとりをさせ、要件を記載した仕様書案を送信させるなどしていた。
逮捕容疑に絡む2019年3月の入札では、佐藤容疑者がサイト運用保守業務に必要のない情報セキュリティー関連の資格を入札要件に追加。IT会社のみが応札し、約900万円で落札した。
IT会社は、14年に初めて科学院のポータルサイト運用保守業務を落札した。佐藤容疑者が退任する21年まで、毎年同業務の入札に参加するなどし、18年を除きいずれも受注していた。
佐藤容疑者はIT会社に落札させるため、合理的な理由なく業務受注実績を厳格化するなど公正な入札を妨害したとして、8日に逮捕された。