トランプ氏、機密持ち出しで起訴 スパイ法違反など7罪状―連邦法では初・米報道
2023年06月09日15時54分
【ワシントン時事】米主要メディアは8日、トランプ前大統領(76)がホワイトハウスからの機密文書持ち出しを巡って起訴されたと一斉に報じた。トランプ氏自身も、当局から起訴の事実を伝えられたとSNSに投稿。大統領経験者として初めて、連邦法での刑事訴追に直面することになる。
トランプ氏によると、13日午後3時(日本時間14日午前4時)に南部フロリダ州マイアミの連邦裁判所に出廷を命じられたという。2024年大統領選への出馬を表明しているトランプ氏は投稿した動画で、起訴は「最高レベルの選挙妨害だ」と主張。「司法を武器化するこの国は地獄に向かっている。私は無実だ」と訴えた。
これまでのところ、司法当局は沈黙している。米メディアによれば、トランプ氏が国防機密を意図的に所持したスパイ防止法違反や、虚偽陳述、司法妨害など、七つの罪状で起訴された。
同氏は3月、不倫相手への口止め料支払いを巡るビジネス記録改ざんで大統領経験者として初めて起訴されており、刑事訴追は2回目。ニューヨーク州法違反に当たる口止め料事案について、トランプ氏は与党・民主党の「魔女狩り」と訴え、共和党内で支持を伸ばした経緯がある。
ただ、州法に比べ連邦法に違反した場合の政治的インパクトは大きい。大統領選の候補者という点では同じ立場にあるバイデン大統領側も、「司法の政治利用」と批判されるリスクを抱える異例の訴追劇となっている。
トランプ氏は退任後、フロリダ州の私邸に大統領在任中の公文書を違法に保管した疑いが持たれ、昨年夏に連邦捜査局(FBI)が家宅捜索を行った。その後は司法省が任命した特別検察官ジャック・スミス氏が捜査を続けていた。
スミス氏は機密持ち出しに加え、20年大統領選で敗北したトランプ氏が政権交代手続きを妨害し、21年1月の連邦議会襲撃事件を喚起した疑いでも捜査を進めている。トランプ氏はまた、20年大統領選でジョージア州の結果を覆そうと圧力をかけたとして、同州検察の捜査も受ける。