入札要件を事前に調整か 元部長、業者と複数回メール―国立科学院の官製談合・警視庁
2023年06月09日14時33分
国立保健医療科学院(埼玉県和光市)のポータルサイト運用保守業務の入札を巡る官製談合事件で、警視庁に逮捕された元政策技術評価研究部長の佐藤元容疑者(62)が入札要件を決めるに当たり、業務を落札したIT会社と複数回、メールでやりとりをしていたことが9日、捜査関係者への取材で分かった。
部長在籍時ほぼ受注 IT会社に長年便宜か―国立科学院の官製談合・警視庁
警視庁は同日午前、科学院を家宅捜索した。佐藤容疑者が競合他社の入札参加を確実に阻止するため、綿密に要件を調整していたとみて詳しい経緯を調べている。
捜査関係者によると、佐藤容疑者は科学院の職員を通じ、IT会社側と複数回、メールで調整して入札要件を決定。公告前に、要件を記載した調達仕様書も同社側に送信していた。
逮捕容疑に絡む2019年3月の入札では、佐藤容疑者がサイト運用保守業務に必要のない情報セキュリティー関連の資格を仕様書の要件に追加。入札参加を希望した競合1社は資格を持っておらず、失格となった。
IT会社は14年以降、佐藤容疑者が退任する21年まで毎年、入札に参加するなどし、18年を除き、いずれも同業務を受注していた。
佐藤容疑者はこの間、政策技術評価研究部長として、入札要件を決める権限があった。19年1月、IT会社に落札させるため、合理的な理由がないのに、受注実績の要件を厳格化するなど公正な入札を妨害したとして8日に逮捕された。