喜び、悲しみ分かち合い ご一家で力合わせ―両陛下結婚30年
2023年06月09日07時07分
喜びの時も悲しみの時もお二人で―。雨上がりの結婚パレードから30年。天皇、皇后両陛下は長女愛子さまにも恵まれ、温かい家庭を築かれた。愛子さまは成年皇族となり、両陛下を支えるようになった。皇后さまの療養生活、新型コロナウイルス禍など、さまざまな困難を乗り越えながら、国民と苦楽を共にする皇室の歩みが続く。
5月30日夜、両陛下は愛子さまを伴い、日本橋高島屋(東京)を訪れ、即位5年・成婚30年記念特別展を鑑賞。結婚パレードで乗ったロールスロイスや当時の映像を見て、天皇陛下は「懐かしいですね」、皇后さまは「ちょっと恥ずかしい」と話していた。
「僕が一生全力でお守りしますから」。説明役を務めた同店担当者が「(陛下の)プロポーズの言葉を覚えています」と切り出すと、愛子さまが「再現を」と陛下に迫った。陛下は笑っていたという。
「たくさんの喜びの時とともに、ときには悲しみの時も経ながら歩んできた」。皇后さまは昨年12月、59歳の誕生日の文書回答で、29歳半で皇室入りした半生を振り返った。
愛子さまは両陛下に対し、「私がどのような状況にありましても、一番近くで寄り添ってくれるかけがえのない有り難い存在」(昨年3月、成年を迎えての記者会見)と全幅の信頼を寄せる。皇后さまが上皇后さまから引き継いだ皇居での養蚕を、陛下と共に手伝っている。
即位後間もなく新型コロナの感染拡大という思わぬ事態に直面し、活動の大幅な制限を強いられた両陛下。昨年秋からようやく地方訪問を再開し、今月3~4日には全国植樹祭に伴い、岩手県陸前高田市などを訪れた。即位後初の東日本大震災被災地訪問で、両陛下が地元の人々に歩み寄り、「コロナで大変だったんじゃないですか」などと声を掛ける予定外の場面もあった。
理想の皇室像について「国民の中に入っていく皇室」とかつて話していた陛下。即位5年目に入り、ようやく活動が元に戻りつつある。