早期解散観測、与野党に緊張 自民候補調整に来週めど―立民は対決姿勢強める
2023年06月09日07時05分
今国会の会期末が21日に迫る中、与野党で会期内の衆院解散の可能性を巡り、緊張感が高まっている。自民党は岸田文雄首相(党総裁)が解散に踏み切る場合の制約を取り除くため、衆院小選挙区の「10増10減」に伴う候補者調整を加速。立憲民主党は内閣不信任決議案提出も視野に政権批判のボルテージを上げた。
自民の森山裕選対委員長は8日の森山派会合で、候補者調整について「来週でほぼめどが付くのではないか」と説明。「解散がいつかは首相の決断にかかっている。常在戦場と認識しながら、暑い、暑い夏を乗り切ろう」と呼び掛けた。
未調整区のうち、最大の懸案が山口新3区。同区では林芳正外相と故安倍晋三元首相の後継を自任する吉田真次衆院議員が競合しており、党執行部は林氏を公認候補予定者とする方向だ。
吉田氏が所属する安倍派会長代理の塩谷立元総務会長は8日の安倍派会合で、「わが派にとって大変大事な選挙区だ。死守すべく努力する」と訴えた。
他派の会合でも解散に関する発言が相次いだ。岸田派事務総長の根本匠衆院予算委員長は「内閣不信任案と解散は関係ない」との立民の安住淳国対委員長の発言を念頭に「違和感がある。不信任案は覚悟して出すものだ」とけん制した。二階派の二階俊博元幹事長は「準備万端怠りなくやった上で、さあいらっしゃいと言うぐらいの態勢でいきたい」と選挙準備を指示した。
早期解散に慎重な公明党の山口那津男代表は党会合で「国会はこれからかまびすしさを増し、緊張感を強いられる展開となる」と引き締めた。
一方、立民は対決姿勢を強めている。対決法案の入管難民法改正案は8日の参院法務委員会で可決され、9日にも成立する見通しとなった。泉健太代表は8日の党会合で「議論を無理やり終わらせた」と批判。残る対決法案である防衛費増額の財源確保法案に触れ、「国会のルールに基づいて最大限の戦いを行う」と語った。
自民は8日の参院財政金融委員会理事会で同法案の13日採決を提案し、立民は反対した。立民は自民が週明けに採決を強行してきた場合、財政金融委員長の解任決議案や鈴木俊一財務相の問責決議案を提出して徹底抗戦する構え。世論を見極めつつ、内閣不信任案提出も検討する。
ただ、立民の選挙準備は進んでおらず、党内には「不信任案は解散を誘発しかねない」として、慎重論も依然として根強い。