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重大事故企業に「組織罰」を 経営トップ無罪相次ぎ要望―JR脱線、軽井沢バス遺族ら

2023年06月09日07時24分

軽井沢バス事故、転落したスキーバス=2016年1月、長野県軽井沢町

軽井沢バス事故、転落したスキーバス=2016年1月、長野県軽井沢町

 軽井沢バス事故を巡り業務上過失致死傷罪で起訴された運行会社社長らに実刑が言い渡された。判決は社長らが事故を予見できたと指摘したが、過去にあった同種の重大事故の裁判では、この「予見可能性」が認められず、企業トップらが無罪になるケースが多く見られた。軽井沢事故などの遺族の中には、個人を同罪に問えないケースでも、企業に刑事罰を科せる「組織罰」の導入を望む声がある。

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 乗客106人が死亡した2005年のJR福知山線脱線事故では、JR西日本の歴代社長3人が業務上過失致死傷罪で強制起訴されたが、予見可能性が認められず無罪が確定した。11年の東京電力福島第1原発事故を巡る裁判でも、同罪で強制起訴された東電元会長ら3人が一、二審で同様に無罪となり、検察官役の指定弁護士が上告している。
 刑法には過失により事故を起こした企業自体の刑事責任を問う規定はない。同法の業務上過失致死傷罪は個人が対象で、安全対策が部下に委ねられていることなど予見可能性が壁となり、トップの刑事責任を認定するのは難しいとされる。
 海外では組織罰が既に導入されている国もある。英国では07年に「法人故殺法」が成立。企業の過失で事故が起きた場合、企業の刑事責任を問うことができるようになった。
 こうした事例を参考にしながら、福知山線脱線事故の遺族らを中心に16年、組織罰の創設を目指して「組織罰を実現する会」が発足。事故防止のための適切な取り組みをしていなかった企業に罰金を科すことができる両罰規定を導入するよう訴え、法務省への働き掛けなどを行っている。
 同会事務局の津久井進弁護士は「事故を起こした法人が罪に問われるようになれば、安全対策を強化する」と話し、組織罰の意義を強調する。

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