入管法改正案、9日にも成立 参院法務委で可決、立・共反対
2023年06月08日20時29分
外国人の収容・送還ルールを見直す入管難民法改正案は8日の参院法務委員会で、自民、公明両党と日本維新の会、国民民主党の賛成多数で可決された。立憲民主、共産両党は反対した。9日の参院本会議でも与党などの賛成多数で可決、成立する見通し。
改正案は、難民認定手続き中は強制送還を一律に停止する現在の規定に例外を設け、3回目以降の申請者や3年以上の実刑を処せられた者を送還可能にすることが柱。
現行法には申請回数に上限がないため、送還を拒むために繰り返し申し立てを行うケースがあり、政府は「送還忌避者」として問題視。法改正により、3回目以降の申請で難民などと認定すべき「相当の理由がある資料」の提出がない場合は送還できるようになる。ただ、本国で迫害を受ける可能性がある人が送還されるとの懸念は根強い。
親族や支援者ら「監理人」の監督を条件に入管施設外での生活を認めつつ、送還手続きを進める「監理措置」制度も導入する。施設に収容した場合でも3カ月ごとに収容の要否を検討する。
難民条約上の難民に該当しない避難民を「補完的保護対象者」(準難民)として保護する制度も新設。認定されれば難民同様に定住資格が付与される。ウクライナやシリアからの避難民を想定している。
国会審議では、大阪出入国在留管理局の常勤医師が酒に酔った状態で外国人収容者を診察した疑惑や、難民認定の審査が特定の難民審査参与員に集中していた問題が発覚。立民、共産は「審議が尽くされていない」として廃案を求めた。
立民が杉久武・参院法務委員長(公明党)の解任決議案や斎藤健法相の問責決議案を相次いで提出して抵抗したため、採決が先送りされていた。