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安全確保へ、巡回指導強化 貸し切りバス事業者に―国交省

2023年06月09日07時06分

【図解】貸し切りバス営業所への監査・巡回指導の実施率

【図解】貸し切りバス営業所への監査・巡回指導の実施率

 軽井沢バス事故を受け、国土交通省は全国の貸し切りバス営業所に対し年1回の巡回指導を始めた。新型コロナウイルスの影響で実施が難しい時期もあったが、2021年度は対象の96%以上の営業所を巡回。今後の旅行需要の拡大なども踏まえ、同省は「事業者の違反を見逃さない」と安全確保を目指している。

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 21年度末時点で、貸し切りバスの営業所は全国で5084カ所あった。年1回が目標の巡回は、各事業者の運行管理や運賃設定などに法令違反がないか確認することが目的。事故前の監査体制が不十分だったとの指摘を受け、改正道路運送法に基づき、各運輸局と10の民間指定機関が監査と巡回指導を分担している。
 巡回を始めた17年度の実施率は39.6%。19年度は75.7%に伸びたが、20年度は新型コロナの影響で52.6%に低下した。21年度は移動制限などが緩和され、実施率は96.9%に増えた。国交省は「ほぼすべての営業所を巡回できた」としている。
 17年4月には、5年ごとの事業許可の更新制を導入し、21年度末までに更新期限を迎えた累計約4000事業者のうち、700の業者が事業から撤退した。同省幹部は「事故対策に特効薬はない。安全管理や法令順守の重要性を発信し続けたい」と話す。
 関西大の安部誠治名誉教授(交通政策論)は「事業者の実態把握は難しく、まだ悪質業者が見逃されている疑いがある」と指摘。コロナ禍以降、貸し切りバス需要の回復などが見込まれることを踏まえ、「原点に立ち返り、仕切り直すつもりで対策に取り組むことが重要だ」と話した。

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