「政治が動く判決を」 原告の男性カップル―福岡・同性婚訴訟
2023年06月08日13時34分
「政治が動くような判決を期待する」。同性婚を巡る訴訟で、福岡市に住む原告の男性カップルこうすけさん(33)とまさひろさん(35)=いずれも姓と漢字表記は非公表=は、福岡地裁での判決を前にこう心境を明かした。これまでに複数の違憲判決が出ているのに、国会での議論が進んでいないと感じる。「社会の変化に政治を動かす人が付いて来ていないのでは」と話した。
同性婚否定は「違憲状態」 2例目、重大な不利益指摘―賠償請求は棄却・福岡地裁
2人は知人の紹介で出会った。趣味が合い、一緒に住み始めてから数カ月でお互いの家族に紹介し、家を持つことにした。2018年には福岡市のパートナーシップ宣誓制度を使ってパートナーに。ただ、お互いを相続人にすることができないなど、同性婚が法制化されていないからこその不安もある。
同性婚を巡り、政治家などから否定的な言葉が出ることに、「多くの人を差別している」と憤る。同性婚の法制化は、伝統的な家族の価値観をゆがめることでも、国を滅ぼすことでもないと訴える。
訴訟を起こす前と後では、家族の反応も違うという。「もうパートナーとして認めているのだから、これ以上目立って、傷ついてほしくない」と裁判に消極的だった家族も、世間の関心が高まるにつれ、協力的になった。
2人は19年の提訴から約4年で、全国的に「パートナーシップ制度」が広まるなど、大きな社会の変化を実感している。先月30日の名古屋地裁での違憲判決後には、LINEで職場の同僚からお祝いのメッセージがあり、注目されていると感じた。まさひろさんは「福岡でも違憲と判断され、法整備されることで、生きやすい国になるのでは」と希望を抱く。