同性婚否定は「違憲状態」 2例目、重大な不利益指摘―賠償請求は棄却・福岡地裁
2023年06月08日12時58分
同性同士の結婚を認めない民法などの規定は、「婚姻の自由」や「法の下の平等」を保障する憲法に違反するとして、福岡、熊本両県の同性カップル3組が国に1人100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が8日、福岡地裁であった。上田洋幸裁判長は「同性カップルは婚姻制度を利用することができず、重大な不利益を被っている」と述べ、現行規定は「違憲状態」と判断した。同判断は2例目。賠償請求は棄却した。
全国5地裁に起こされた同種訴訟で5件目の判決。過去4件は全て原告の請求を棄却したが、憲法判断は札幌、名古屋が違憲、大阪が合憲、東京が違憲状態と分かれていた。いずれの訴訟でも原告側が控訴、または控訴するか検討しており、今後は高裁段階での審理が続く。
上田裁判長はまず、「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立する」と定めた憲法24条1項について「男女の婚姻を想定しており、同性婚を含むものではないと解するのが相当だ」と指摘した。
その上で、婚姻や家族に関する立法に関し、「個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなければならない」とする24条2項に違反するか検討。「同性カップルは婚姻制度を利用することにより得られる利益を一切享受できず法的に家族と承認されないという重大な不利益を被っている」とし、「こうした利益を一切認めない規定は個人の尊厳に立脚すべきものとする24条2項に違反する状態にある」と判断した。
一方、同性婚などに対する法的保護に肯定的な意見が多くなったのは比較的最近であると言及。「立法府による今後の検討や対応に委ねることが必ずしも不合理とは言えない」と述べ、24条2項に違反するとまでは認められないと結論付けた。法の下の平等を定めた14条についても、区別的な取り扱いには合理的な根拠が存在すると述べ、違反しないとした。