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長期の官民投資、財政悪化も 政策検証、問われる「実効性」―骨太原案

2023年06月07日19時32分

 政府が7日に示した「骨太の方針」の原案では、人材育成や脱炭素・次世代半導体の技術開発などの重点分野で、官民が長期にわたり投資を拡大する方針を盛り込んだ。「市場任せ」では過少投資に陥る恐れがあるため、政府の支出を「呼び水」に民間投資を喚起する狙いがある。だが、政策効果の評価が難しい事業への長期投資は一段の財政悪化を招きかねない。実効性のある政策検証の枠組み構築が不可欠だ。

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 原案では、日本の経済財政運営は長らくデフレとの闘いが中心となり、企業もコスト削減を優先する中で国内投資や賃金を抑制してきたと指摘。その上で、30年ぶりとなる高い水準の賃上げなど悪循環を断ち切る前向きな動きを加速させるため、政府が「予算・税制、規制・制度改革を総動員」して民間投資を促し、持続的な成長を実現すると強調した。
 もっとも、地方を合わせた日本の債務残高の対GDP(国内総生産)比は既に250%を超えており、先進国でも突出している。
 これを踏まえ原案は、官民投資の拡大とともに、コロナ対策で膨張した歳出構造は「平時に戻す」と強調、経済再生と財政健全化の両立を目指す方針も示した。しかし、岸田政権は防衛力の抜本強化や「異次元の少子化対策」へ、さらに巨額の支出を行う意向。財政健全化の道筋は全く見通せないのが実情だ。
 政府は原案で、多年度にわたる計画的な投資に当たっては、財源を一体的に検討するとともに、中長期的な政策効果の検証を拡充する考えを打ち出した。ただ、政策検証の主体は従来の政策に「お墨付き」を与えてきた経済財政諮問会議に委ねている。どこまで客観・中立性のある検証ができるのか、厳しく問われることになる。

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