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少子化財源、道筋見えず 社会保障負担増に反発必至―「骨太の方針」原案

2023年06月08日07時05分

こども未来戦略会議で発言する岸田文雄首相(手前から3人目)=1日、首相官邸

こども未来戦略会議で発言する岸田文雄首相(手前から3人目)=1日、首相官邸

 政府の経済財政運営の基本指針「骨太の方針」原案では、少子化対策が柱の一つに位置付けられた。今後の焦点は年3兆5000億円に上る財源の確保だが、具体的な議論は年末に先送りされる見通し。政府は歳出削減を軸に想定するものの、国民の実質的な負担増が明らかになれば強い反発も予想され、議論は難航必至だ。

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 原案は「こども・子育て政策は最も有効な未来への投資であり、政府を挙げて取り組みを強化し、少子化傾向を反転させる」と明記。骨太には、政府が近く決定する「こども未来戦略方針」に盛り込まれる児童手当拡充や保育サービスの充実、高等教育費の負担軽減といったメニューが並ぶ見込みだ。
 一方、財源に関し、今月1日公表された戦略方針案では「消費税などの増税は行わない」としており、政府は税の議論を封印。「国民に実質的な追加負担を生じさせないことを目指す」方針で、薬価見直しなどの歳出改革が念頭にあるとみられる。ただ、社会保障費の大部分は医療や介護などの給付費で占められており、歳出改革でどれだけの財源が捻出できるかは見通せない。自民党内からは「社会保障費を削減すべきでない」との反対論も噴出している。
 さらに、同方針案では企業を含め幅広く負担を求める「支援金制度」を構築する方針を打ち出しており、社会保険料の引き上げで財源を賄うことになれば、加入者の負担増につながる。
 ある政権幹部は「少子化は待ったなしの課題。先送りは許されず、首相の危機感は相当強い」と強調するが、働き方改革も含めた具体的な支援策や財源確保に向けた道筋を明確に示すことができるかは不透明だ。

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