ハンガリーは「議長国に不適」 欧州議会が反対決議
2023年06月07日20時33分
【ブリュッセル時事】欧州連合(EU)欧州議会は、2024年に予定されているハンガリーのEU議長国就任に事実上、反対する決議を賛成多数で採択した。EUの多くの国にとって、強権的な政策を進めるハンガリーは「厄介者」(AFP通信)。決議に法的拘束力はないが、同国に対する根深い不信感が改めて浮き彫りとなった。
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EU議長国は6カ月ごとの輪番制で加盟国が務め、ハンガリーの任期は24年7~12月の予定。議長国は、加盟国の閣僚で構成される理事会の議事進行や非公式会合の開催などを担い「欧州の顔」となる。
ハンガリーのオルバン首相は、LGBTら性的少数者に対する差別的な措置を取り、言論統制も進めている。「法の支配」を重視するEU加盟国は、ウクライナに侵攻したロシアのプーチン大統領と親密なオルバン氏に対する批判を強めている。
決議は、ハンガリーがEU議長国として役割を果たせるのか「疑問を呈する」と強調。理事会に「できる限り早期に適切な解決法を見つけるよう求める」との文言が盛り込まれ、賛成442、反対144、棄権33で1日に採択された。
欧州議会の反発は、24年の政治日程も関係している。同年6月に、5年に1度の欧州議会選挙が行われ、秋には欧州委員長らが任期切れを迎える。議会としては、今後のEUの方向性に影響を及ぼす重要局面で混乱を回避したいものとみられる。ただ、決議採択を批判する国もあり、EU内の亀裂が広がる可能性もある。
オルバン首相の政治担当補佐官はツイッターで「ハンガリーへの脅しは無駄だ」と主張。バルガ法相も「24年の議長国(就任)に向けた準備は順調に進んでいる」と強調した。