英政府、中国の「在外警察署」閉鎖を要求 「監視拠点」か
2023年06月07日14時56分
【ロンドン時事】英政府は6日、中国が英国内で開設・運営する非公式の「在外警察署」を全て閉鎖するよう中国側に要求していたことを明らかにした。トゥゲンドハット治安担当閣外相が下院で報告した。中国は海外でこうした施設の設置を進めているとされ、各国が警戒を強めている。
AFP通信などによるとトゥゲンドハット氏は、外務省が在英中国大使館に「『警察署』を英国内で機能させるのは受け入れ難いことであり、いかなる形でも運営されるべきでない」と通達したと表明。大使館はこれに対し「そのような拠点は全て恒久的に閉鎖した」と回答してきたという。
英国内の「警察署」については、人権団体セーフガード・ディフェンダーズの指摘で明るみに出た。同団体によると、「警察署」は「公的には(在英中国人への)事務サービスの提供が目的だが、自国民を監視したり嫌がらせを加えたり、時には帰国を強いるためにも使われている」とされる。指摘を受けて警察が捜査した結果、違法行為の証拠は見つからなかったものの、英政府は「許可なく設置され、中国を逃れ安全と自由を求め英国に来た人々を困惑させ、脅かす」(トゥゲンドハット氏)ものだとして閉鎖を求めた。
「警察署」を巡っては、他の欧州諸国や米国、カナダでも存在が指摘され、各国の当局が捜査に乗り出している。米国では4月、ニューヨークのチャイナタウンで同様の拠点を開設したとして男2人が逮捕された。この拠点も、米在住の中国反体制派の監視活動に使われていたとみられる。