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日米韓、「衛星」に警戒継続 北朝鮮は予告期間撤回せず―再度打ち上げ兆候も

2023年06月07日07時06分

5月31日、北朝鮮の平安北道鉄山郡の「西海衛星発射場」から新型ロケットに搭載して打ち上げられた軍事偵察衛星「万里鏡1号」(朝鮮通信)

5月31日、北朝鮮の平安北道鉄山郡の「西海衛星発射場」から新型ロケットに搭載して打ち上げられた軍事偵察衛星「万里鏡1号」(朝鮮通信)

  • 全国非常防疫総括会議で討論する朝鮮労働党の金与正副部長=2022年8月10日、平壌(朝鮮通信)

 【ソウル時事】北朝鮮は先月末、弾道ミサイル技術を利用した「軍事偵察衛星」の打ち上げに失敗したものの、「できるだけ早期に2回目の打ち上げを行う」との立場を変えていない。日韓両政府は、予告期間である11日午前0時までに再び強行する可能性もあるとみて警戒を続けている。

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 浜田靖一防衛相は6日の記者会見で、「北朝鮮は(打ち上げ)予告期間を撤回していない」と強調した。その上で、予告期間が終了するまで、日本の領域への落下物に備え、自衛隊に対する破壊措置命令を維持し、情報収集や警戒・監視に全力を挙げる方針を示した。
 米政府系放送局ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は、3日の衛星写真を基に北朝鮮北西部・東倉里の「西海衛星発射場」で、ロケットを垂直に立てる設備の移動が見られたと報じた。同様の動きは5月31日の打ち上げ前にも確認されており、2回目の打ち上げを行う兆候との見方もある。
 これについて、韓国軍合同参謀本部は6月5日の記者会見で「韓国と米国の情報当局が鋭意注視している。(2回目の)発射時期は、さまざまな可能性を念頭に置いている」と説明した。
 先月末の失敗以降、北朝鮮は国営メディアを通じ、再度の打ち上げを試みると繰り返し訴えている。金与正朝鮮労働党副部長は談話で、「偵察衛星は近く宇宙の軌道へ正確に進入する」と主張した。一方、朝鮮中央通信は、国際海事機関(IMO)が打ち上げを批判する決議を採択したことに反発し、今後、事前通告を行わないことを示唆する論評を配信した。
 韓国国防省は打ち上げ失敗についてロケットの2段目のエンジンが点火しなかった可能性が高いとみている。情報機関・国家情報院は「エンジンの点検と改修に数週間以上かかるとみられるが、欠陥が軽微な場合、(予告期間内の)早期発射の可能性も排除できない」と分析した。
 北朝鮮が失敗を前提に当初から2号機を用意しているとの見方もある。韓国国家戦略研究院の張泳根ミサイルセンター長は韓国紙・中央日報に、金正恩総書記が4月に国家宇宙開発局を視察した際の映像を基に、「北朝鮮が2種類のロケットを同時に開発したとみられる」と指摘。先月末よりも大型のロケットを打ち上げる可能性があるとの見解を示した。

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