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「再発防ぐメッセージを」 判決に込めて、遺族訴え―軽井沢バス事故

2023年06月06日07時04分

長野県軽井沢町で2016年に起きたスキーバス転落事故の判決を前に、再発防止に向けた思いを話す遺族の田原義則さん=5月14日、大阪府吹田市

長野県軽井沢町で2016年に起きたスキーバス転落事故の判決を前に、再発防止に向けた思いを話す遺族の田原義則さん=5月14日、大阪府吹田市

 「二度と事故が起こらないようなメッセージを込めた判決を」。軽井沢バス事故の判決を8日に控え、大学2年だった次男田原寛さん=当時(19)=を亡くした父義則さん(57)=大阪府吹田市=は、同種事故の防止につながる判決を願う。

〔写真特集〕軽井沢でスキーバス転落

 裁判は、事故から5年以上が過ぎた2021年10月に始まった。運行会社社長の高橋美作被告(61)と運行管理者だった元社員荒井強被告(54)は、初公判でいずれも無罪を主張。予想はしていたものの、「遺族の前で言ってほしくなかった」と義則さんは憤る。
 本音を聞きたいという思いで、被害者参加制度を利用し、法廷で直接質問した。「事故を防ぐ方法はあったのか」と問うと、両被告は「教育訓練をしっかりやっていれば防げた」などと答えた。「運行管理がずさんな会社が存在していいわけがない」。義則さんはそう確信した。
 母由起子さん(56)は「あのバスに自分の家族を乗せられるか」と法廷でただした。一番聞きたかった質問だった。「今は乗せられない」と答えた両被告。由起子さんは「子どもたち13人が亡くなったことを背負ってほしい」と判決を前に訴える。
 義則さんは事故後、遺族会の仲間と共に再発防止策などについて国土交通省と意見交換を続けてきた。「寛が背中を押してくれている」。義則さんは活動を続ける理由を語る。
 事故を風化させず、発信を続けていくためにも、判決で会社側の責任を明確に認めてほしい。「無罪になれば、今後も必ず(同じような)事故が起こり得る」。遺品の紺色のネクタイを身に着け、寛さんと共に判決を見届ける。

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