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事故予見可能性、どう判断 運行会社社長ら無罪主張―軽井沢バス転落、8日判決・長野地裁

2023年06月06日07時03分

長野県軽井沢町でのバス事故を受け、記者会見する運行会社「イーエスピー」社長の高橋美作被告(左)。右は荒井強被告=2016年1月16日、東京都羽村市

長野県軽井沢町でのバス事故を受け、記者会見する運行会社「イーエスピー」社長の高橋美作被告(左)。右は荒井強被告=2016年1月16日、東京都羽村市

  • ガードレールを突き破って横転したスキーバス=2016年1月15日、長野県軽井沢町
  • ガードレールを突き破って横転したスキーバス=2016年1月15日、長野県軽井沢町

 長野県軽井沢町で2016年1月、大学生ら15人が死亡し、26人が負傷したスキーバス転落事故で、業務上過失致死傷罪に問われた運行会社「イーエスピー」(東京)社長の高橋美作被告(61)、運行管理者だった元社員荒井強被告(54)の判決が8日、長野地裁である。多くの命を奪った事故は予見できたのか。禁錮5年を求める検察側と無罪を主張する弁護側は全面的に対立しており、裁判所がどう判断するかが焦点だ。

〔写真特集〕軽井沢でスキーバス転落

 現場はカーブが連続する下り坂。死亡した男性運転手は大型バスの運転に不慣れで、事故はギアとフットブレーキの操作を的確に行えなかったことに起因して発生したとされる。公判では、予見可能性に加え、事故を回避するために必要な措置を講じたかなどが争点だった。
 検察側は荒井被告について、死亡した運転手から「大型バスの運転に不安がある」と聞いていたのに、収益拡大を優先して十分な運転訓練を行わなかったなどと指摘。高橋被告については、荒井被告の運行管理体制がずさんだと認識しながら指導せず、運転手の技量を把握しないまま業務に従事させたと主張した。
 弁護側は、運転手が事故時にフットブレーキを適切に使っていなかったとし、「免許取得者がフットブレーキを踏まないことは異常で、事故は予見できない」などと反論した。
 被告人質問でも、荒井被告は運転手から大型バスの運転に不安があったとは聞いておらず、運転技量についても「何も異常はないと報告を受けた」と発言。高橋被告も運転手が大型バス運転に関してブランクがあったとは知らなかったとし、運行管理について「荒井被告に任せていた」と主張するなど、検察側と激しく対立していた。
 事故は発生から約7年5カ月が経過。遺族は「やるべきことをやっていれば事故は防げた」と訴えており、裁判所の判断が注目される。

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