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タツノオトシゴを救え 「海中ホテル」で繁殖―オーストラリア

2023年06月05日13時33分

「海中ホテル」に放流されたタツノオトシゴ=2021年、オーストラリア・シドニー湾(シー・ライフ・シドニー水族館提供)

「海中ホテル」に放流されたタツノオトシゴ=2021年、オーストラリア・シドニー湾(シー・ライフ・シドニー水族館提供)

  • 【図解】オーストラリア東部ニューサウスウェールズ州

 【シドニー時事】絶滅の恐れがあるタツノオトシゴの固有種を救おうと、オーストラリア東部ニューサウスウェールズ州当局と地元水族館などが合同で繁殖プロジェクトに取り組んでいる。タツノオトシゴが快適に過ごせるよう設置した「海中ホテル」に、今年約700匹の稚魚を放流して増やす計画だ。

〔写真特集〕守ろう 絶滅危惧種

 豪東海岸には「ホワイツ・シーホース」と呼ばれるタツノオトシゴの固有種が生息している。成魚は体長16センチほどで、周りの環境に適応して体の色を変える。開発や砂浜の浸食に伴い数が減っており、特にこの数年に洪水の頻発を受けて激減した。州は絶滅危惧種に指定している。
 プロジェクトでは、州都シドニーのシー・ライフ・シドニー水族館でふ化させ、稚魚をある程度の大きさに育ててから海へ移す。2021年にシドニー湾へ試験的に放流したのに続き、今年5月にはシドニーから約150キロ北方のポートスティーブンス湾に約300匹を放流した。さらに400匹を年内に放す予定だ。10月ごろから繁殖が本格化すると見込まれている。
 放流場所に設ける海中ホテルは、タツノオトシゴが尾を巻き付けて休息できるよう格子状に設計され、環境に優しい生分解性の素材で造られている。州当局は「人工的なすみかだが、やがて藻やサンゴなど多様な生物で覆われる。タツノオトシゴにとっては、身を守り、エサを得やすい『五つ星ホテル』になる」と説明している。

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