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強まる統制、消えゆく「記憶」 書籍撤去、追悼像を押収―香港

2023年06月05日07時06分

4日、香港・香港島のビクトリア公園で警戒に当たる警官ら

4日、香港・香港島のビクトリア公園で警戒に当たる警官ら

  • 4日、香港・香港島のビクトリア公園で開催された親中派団体のイベント
  • 4日、香港・香港島のビクトリア公園近くに駐車された警察車両

 【香港時事】中国政府が統制を強める香港では4日、天安門事件から34年を迎えた今年も追悼集会が開かれなかった。2020年に香港国家安全維持法(国安法)が施行され、言論統制が進む中、公立図書館からは事件関連の書籍が撤去された。反政府的な言動に対する当局の締め付けは厳しさを増しており、事件の風化が懸念される。

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 事件翌年の1990年から20年まで毎年6月4日に追悼集会が開かれてきた香港島のビクトリア公園。今年は親中派団体のイベントが開催されるなどした。周辺では多くの警官が警戒に当たり、扇動的な言葉を書いたデモ関連の物品を陳列したなどとして4人が3日逮捕されたほか、4日にかけて活動家らの拘束が相次いだ。
 香港では最近、天安門事件関連など「国家安全の利益に反する」書籍が公立図書館から撤去された。政府トップの李家超行政長官は「政府には不健全な思想を含む書籍を推奨しない責任がある」と主張。専門家からは、情報に自由にアクセスできる香港の評価を損なうと危惧する声が上がる。
 一方、事件の犠牲者を追悼する彫像「国恥の柱」が21年12月、香港大学の構内から撤去された。キャンパスから離れた大学管理施設で保管されていたが、香港警察は今年5月、彫像を国安法の「国家政権転覆扇動」容疑の証拠物として押収。制作者のデンマーク人彫刻家は「常軌を逸している」と批判した。
 21年には事件の記念館も香港当局の圧力で閉館に追い込まれたが、2日に米ニューヨークで開館した。「歴史の記憶を消そうとする中国共産党に対抗する」。事件当時の学生リーダーで移転を主導した王丹氏は決意を新たにしている。

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