今の中国「天安門より深刻」 若者らに行動呼び掛け―元学生リーダー王丹氏
2023年06月05日07時05分
【北京時事】1989年の天安門事件から4日で34年となるのを前に、当時の学生リーダーで米国在住の王丹氏が書面インタビューに応じ、現在の中国が抱える問題は事件当時より「さらに深刻だ」と訴えた。異論を認めず統制を強める習近平国家主席の統治手法は、長く続かないと指摘。若者らに対し、「自分たちの未来のために立ち上がる」よう呼び掛けた。
習氏「一強」、狭まる言論空間 民主派への監視強まる―天安門事件から34年・中国
王氏は、過度な権力集中で社会の大混乱を招いた1966~76年の文化大革命に触れ、「今の中国は文革の状態に戻っている」と懸念。「暴力とうそに依拠した統治手法」が長期的に成り立たないことは「歴史が証明している」と断言した。
34年を前に王氏らの主導で、事件の記憶を伝える記念館が米ニューヨークで設立された。長年、香港が追悼の場だったが、2020年の香港国家安全維持法施行によって活動が難しくなった。王氏は「過去、香港は私たちを支えてくれた。今は私たちが報いる時だ」と強調。記念館には、香港の民主の歴史を紹介する展示室を設けたという。
習政権に「何の期待もない」と言い切る一方、「未来には希望を持っている」と力を込める。昨年、厳格な行動制限を伴う「ゼロコロナ」政策に反発して起きた「白紙運動」に関し、「政治が変わらない限り、生活も改善されないという道理を中国の青年たちが示した」と評価。「未来は若者世代のものだ。耐えるのではなく、立ち上がり奮闘しなければならない」と行動を促した。