王者、心の闇を赤裸々に 世界記録保持者のピーティ―競泳
2023年06月02日05時49分
競泳男子100メートル平泳ぎの世界記録保持者で、五輪金メダル3個を持つアダム・ピーティ(28)=英国=が苦しんでいる。英BBC放送(電子版)のインタビューで、うつやアルコール問題について触れ、「自滅的な連鎖に陥っていた」と心の闇を赤裸々に明かした。
2016年リオデジャネイロ五輪の100メートル平泳ぎを制し、21年東京五輪で連覇を達成。だが、「金メダルでは問題は解決しなかった」とピーティは言う。昨年はけがやモチベーション低下に悩まされた。「高みや(好成績という)報酬を求める多くのアスリートは、けがを抱えたり、オフシーズンに入ったりすると、空白を埋めるためアルコール問題と闘うことになる。僕は常にそうした状態だった」。メンタルヘルスを理由に4月の英国選手権を欠場し、7月の世界選手権福岡大会も代表から外れた。
抜群の結果を残しながらも、頭の中では自身の能力を疑うような声が響くという。「何年も一生懸命にやってきても、レース中に『お前には値しない』と聞こえる時があるんだ」。注意欠陥・多動性障害(ADHD)とも診断された。
「自分が誰なのか、人生で何を求めるのかをじっくりと考え、金メダルを取りにいく。五輪ではとてもいいマインドセット(考え方)になってくれればいい」。来年のパリ五輪までに、戦いに臨める精神状態を取り戻すよう努めていく。 (時事)