衛星打ち上げ、ICBM技術利用 写真公開で正当性訴え―北朝鮮
2023年06月02日07時10分
【ソウル時事】北朝鮮の朝鮮中央通信は1日、失敗に終わった5月31日の軍事偵察衛星「万里鏡1号」打ち上げの場面とする写真を公開した。専門家らは衛星を搭載した新型ロケット「千里馬1型」について、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の技術が利用されたと指摘するが、北朝鮮には失敗の写真を対外向けに公開することで、ミサイル開発ではないと打ち上げを正当化する思惑もあるもようだ。
公開された写真では、ロケットから複数の直線状の炎が噴き出しているのが確認できる。韓国航空大の張泳根教授は、エンジンの噴射口の数から、北朝鮮が保有する既存の液体燃料式ICBMの技術を用いた可能性があると分析。東京大先端科学技術研究センターの山口亮特任助教も「噴射口が二つあることから、特にICBM『火星15』と類似している」と語った。
北朝鮮による弾道ミサイル技術を利用した発射は国連安全保障理事会の決議違反になる。韓国の李鐘燮国防相は1日の国会報告で、「衛星を打ち上げる発射体も弾頭を積むミサイルも同じ原理だ」と指摘し、ICBMとロケットは技術的に同一だと強調した。
李氏はまた、過去の発射で使われた発射台ではなく、海沿いに新しく造られた発射台からロケットを自立したような状態で打ち上げたもようだと説明。3段式ロケットの1段目の推進エンジンは、液体燃料式との見解を明らかにした。1段目の飛行の軌跡に異常はみられず、2段目のエンジンが正常に点火できなかった可能性が高いという。
北朝鮮は31日、北西部・東倉里の「西海衛星発射場」から万里鏡1号の打ち上げを実施したと発表。ロケットの2段目のエンジンに異常が生じ、黄海に墜落したと認めていた。